先日Mさん(50代男性)から健康相談を受けたときにこんなお話を聞かせていただきました。
Mさんは5年前に脳出血を患い、その後遺症で舌がこわばる、右半身に軽い障害などあり、
5年間病院で薬を処方され飲み続けているがあまり効果がなく、主治医からは漢方を試してはとのことで
「抑肝散」という漢方薬を処方されたそうです。
その「抑肝散」を服用したらたいへんなことになったそうです。血圧が上がり、口の中が硬くなりろれつが回らなく
全くしゃべれなくなったのです!
即中止して、ゆっくりと回復したのですが、その後から漢方について恐怖感があるようです。
これは、「抑肝散」が悪いのではなく、Mさんお体質に合わないことが副作用の原因です。
Mさんの体質は陰虚、乾燥タイプで、漢方の証は肝陽上亢、上に上がるタイプです。
抑肝散の主成分は柴胡という生薬ですが、この生薬は「燥」の性質をもっているほか、
体の気を上にのぼらせる作用があります。もともと体が潤い不足で乾燥しているのに、
抑肝散でさらに潤いを伊庭割れて血液がどろどろになってそのような副作用が起こったのです。
抑肝散の説明書にはこのように書いてあります。
抑肝散(ヨクカンサン)という方剤です。神経の高ぶりをおさえ、また、筋肉の“こわばり”や“つっぱり”をゆるめて、
心と体の状態をよくします。
この説明書だけをみるとMさんの症状に合うように見えますが、各生薬の性質をみるとまったく逆の方向に働きますので
場合によっては危険さえあります。
そもそも漢方理論を勉強していない西洋医学の医者が漢方を処方するのに問題があると思います。
漢方薬は副作用がない、安全であると思い安易に使うのは危ないです。
必ず漢方の専門家にご相談されることをお勧めします。