新型コロナウイルスが猛威を振るっている中、山友のYさんの訃報が入ってきました。
Yさんは第一揚子江大橋の武漢に住んでいて、小さい時から揚子江で水泳を磨いて
きました。
自ら揚子江救助隊を創設し、亡くなるまでの三十数年間隊長を務めてきました。
この間救助隊が助けた人は200人以上に上ると中国メディアが報道していますが、
こんな屈強な男が今度の新型コロナウイルスに感染され亡くなりました。
先日テレビで免疫力が強すぎても弱すぎても新型コロナウイルスに負けやすいとある
医者が言っていました。免疫力が強過ぎるとウィルスも最初から激しくかかってくるので
人間が負けてしまうとか。
Yさんの場合もこのケースでしょうか。
Yさんとは10年前8200mのチョーオユー登山で同じチームでした。Yさんは人の面倒見
がよく、年齢的にも体格的にも人望があり、みんなにY兄貴と親しく呼ばれていました。
でも、やはり登山は水泳とは異なり、浮力がないだけでなく、地面に吸い込まれそうな
重力に一歩間違えばあの世へ行ってしまう危険をはらんでいます。
帰りの懇親会でYさんが「正均さん、私は山には向いていないようなので来年のエベレ
ストは諦めますが、正均さんはぜひ登頂成功して夢をかなえてください。そのかわり、
一回武漢に来てください。一緒に揚子江を泳ぎ渡しましょう」と杯を酌み交わしました。
翌年の5月私がエベレスト登頂後の帰途に、北京の友人同級生教え子たちに祝賀会を
してもらいましたが、Yさんは電話で「正均さんおめでとう!所用で北京には駆けつけれ
ないが私の分まで登ってくれて本当にありがとう!」と自分のことのように喜んでくれま
した。
私はこれまで、家内と九寨溝、黄龍、峨眉山、張家界、五指山を登りましたが、そして
中国の大体のところは行っていますが武漢と長沙には行ったことがなく、いつかは家内
と一緒に武漢を訪れてYさんと懐かしい再会を夢見ていました。
そんな甲斐もなくYさんは逝ってしまいました。かける言葉が見つかりません。
ただ両手を合わせてYさんのご冥福を祈るのみです。合掌。
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