秋もだんだん深まり、季節的には立冬も過ぎています。
桜紅葉も落ちている葉が残っている
葉より多く、もみじ絨緞がきれいです。
きれいと思いながらどことなく寂しさを
感じるのは私だけでしょうか。
「裏を見せ 表を見せて 散るもみじ」
良寛の辞世の句を思い浮かべながら、
「霜葉紅於二月花/霜葉は二月の花よりも紅なり」
と唐時代の杜牧の一句を吟じたりします。
杜牧のこの一句は秋の紅葉も春のお花に負けないくらい鮮やかですよだけでなく、老人になりかけようと
しても若者に負けないくらいの元気と気概がありますよ意味も重ねていますので、「老当益壯/老いて
当に益々壮健なり」として、老人を励ます時によく使われます。
同じ唐時代の李商隠は
「夕陽無限好 只是近黄昏/夕陽は無限に好し、只まさに夕暮れ近し」の
名句を残しています。
還暦を過ぎると、ただきれいに見えていた桜紅葉も桜絨緞もなんとなく
自分の身と重なって映って見えるようになりました。
二月の花に負けない気概で紅葉の使命を果たし、やがて落ちては根っ子の
元に戻ろうと心を新たにさせていただきました。