日本では中国明朝袁了凡の「陰隲録」がよく知られていて、
陰徳積善を勧めていますが、その源流をさかのぼっていけば
紀元前500年前の老子の「道徳経」にたどり着きます。
ニューヨークタイムズの統計によりますと、「道徳経」は世界で
260種余りの翻訳版があり、その出版部数はバイブルを越えているそうです。
中国唐王朝時代の大文豪白楽天が杭州太守に赴任したとき、
鳥巣大禅師に参拝し仏法大義はなんですかと尋ねました。
鳥巣大禅師は「諸悪摸作衆善奉行」と答えました。
白楽天がそんなことは三歳の子供も知っていますと笑うと
鳥巣大禅師は三歳の子供が知っていることを八十の老翁もなかなかできて
いませんよと諭したそうです。
古今内外の陰徳積善も、いまだに人気が衰えない時代劇「水戸黄門」の
勧善懲悪も、その理解は難しくありませんが、その実践はなかなか容易では
ありませんね。
利他の実践はまず夫婦からと思うようになりました。
昔は自己主張ばかりして家内をかなり困らせましたが、
自分の欲を捨てた時から「主人を世界一幸せな男にするのが夢」と
家内が公言するようになりました。
また昔私が夢見ていたことを家内の方からやりましょうと言われたりするから
驚かずにはいられません。
三国時代の諸葛孔明は自分の息子に宛てた手紙に「静以修身、倹以養徳」と
書いて戒めました。
修身養徳も陰徳積善も結局は我を捨てることではないでしょうか。