万木が厳しい風雪にもがいている中、蝋梅だけが花香を放っています。
こんな季節に芳香を放つ黄金色の花を群れ咲かせ、私たちを幸福な気持ちにさせてくれる
春を迎える花、「迎春花」として愛されてきたロウバイ(蠟梅)です。
蠟梅や 雪うち透(す)かす 枝の丈(たけ)
芥川龍之介の有名な俳句です。芥川にとってロウバイは特別な花でした。
1925年(大正14年)に、『蠟梅』というタイトルの短いエッセーを書いています。
裏庭にあるロウバイの木への愛を語り、明治維新によって没落し、家財を売り払った後に、
このロウバイだけが子孫に残されたのです。
上の俳句はロウバイの透明感、さらには無常感が見事に詠まれています。
ロウバイの花言葉は「ゆかしさ」「慈しみ」「先導」「先見」などですが、
初めの2つは花の雰囲気から、後は他の花に先駆けて咲くことが由来です。
毎日寒い日が続き身も心も凍ってしまいそうですが、雪にも負けず花香を放っている
蝋梅を見ているとなんとなく身も心も暖まってくるような気がします。
冬来たりなば春遠からじ。
半人前の漢方、発酵職人・素人俳人・吟詠初心者 木元正均
清峰流の創始 吟道清峰流 (eonet.ne.jp)(私が所属している吟道清峰流猶興吟詠会HPです)