中国の国酒、中国ナンバーワンの酒などたくさんの名誉を浴びている茅台酒です。
昨年の2019年のオークションで1935年産400㏄の茅台酒が1070万人民元(約17,120
万円)で落札されたと聞いて度肝を抜かれました。
10年ほど前から茅台酒の価格が暴騰していることは知っていますが、1本1万人民元
(約16万円)する茅台酒が中国市場にたくさん出ているのはちょっと異常な気がします。
今から37年前の今頃、吉林大学を卒業して同大学の大学院に入ったばかりのことです
私は茅台酒を買い求めて長春市の有名なホテルや百貨店を歩き回りましたが、なかな
か見つかりませんでした。しかし、私にはどうしても茅台酒を買わなければならない
理由がありました。
長姉の弘愛は私より16歳年上ですが、お金の事情で高校に行けず、学費から食事代
まで国が出してくれる師範学校に行き、小学校の教師となりました。
20歳で中学校のクラスメートの福吉義兄と結婚しましたが、この二人は正しく我が家の
救世主でした。泥を嘗めるような貧乏生活の中で、年に一二回帰省する姉と義兄を
指折りしながら待っていたのは私だけでなく、父母を含めた家族全員でした。
義兄だけは週末にはよく20キロを道を自転車で漕ぎつけ、日曜日を利用して薪を運ん
でくれたり、家の修繕を助けてくれたりしました。私が大学に入ってからも仕送りをして
くれたり、夏休みや冬休みに帰省するときは服を買ってくれたり、ごちそうしてくれたり
して私にとって義兄はまるで親のような存在でした。
そんな義兄はお酒が大好きでした。私は恩返しにはなりませんが、義兄にお酒の頂点
の茅台酒を義兄の誕生日祝いにプレゼントしようと決めました。故郷の一般の人々は
見たこともない最高のお酒を義兄に贈って、義兄と姉のご恩は決して忘れることはない
ということを示したかったです。
たまたま、私たち大学院生の寮と道を挟んで北側に吉林省幹部住宅街があり、故郷の
二市六県のトップをしていたZさんが住んでいることを知り、無礼千万で飛び入り訪問し
ました。Zさんと奥さんは最初は困惑の顔をしていましたが、私の話を聞くとすぐ護衛の
兵士にすぐ本部に行って2本持ってきなさいと命令しました。結局在庫がなくて1本しか
持ってこれませんでしたがなんとか茅台酒を手にすることができた私は有頂天になり、
すぐ茅台酒を義兄に贈りました。義兄の喜びは言うまでもありませんでした。
そのときの茅台酒は1本6元弱でした。今は茅台酒の空瓶回収価格が何十元もする
とか。何百元する空瓶もあるというからそれは偽茅台酒に使うための悪質行為。
義兄の誕生日が近づくといつも茅台酒とZさんのことが思い出されます。
Zさんは昇進に昇進を重ねてX部部長(大臣)になり、近づきがたい大物になりました。