今朝家内と6時半ごろお旅山に登ったら東の夜明け前の黎明がきれいでした。
一緒にいた仲間に夜明け前も日の出に負けないくらいの神々しさがありますねと
挨拶したら、自然に島崎藤村の名作「夜明け前」に話題が進みました。
実は今、テレビでもネットでもユーキャンの「聞いて楽しむ日本の名作」に興味津々。
昔大学で日本の名作を読んだ時の感動をもう一度味わいたくて早速注文しました。
全16巻で169作品を収録していますが、個性派の名優女優たちが朗読しているので
楽しみです。一つの作品を40分前後でまとめているというが、宮沢賢治の「雨ニモ
マケズ」は2,3分程度で終わるでしょう。
熱海海辺の貫一お宮像の前では尾崎紅葉の「金色夜叉」の貫一の嘆きを高唱し、
大分耶馬渓の青の洞門では菊池寛の「恩讐の彼方」のモデル禅海和尚にはある種の
寂しさを感じました。
静岡修善寺から下田までの旅では川端康成「伊豆の踊子」の淡い恋心に酔い痴れ、
山本有三「路傍の石」では人間の存在価値を悟らせてもらい、坊ちゃん劇場では
夏目漱石の「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしていた」を口遊みました。
島崎藤村の「夜明け前」の冒頭「木曽路はすべて山の中にある」の舞台岐阜(昔は長野)の
馬籠を訪れたら、「血につながるふるさと、心につながるふるさと、言葉につながるふるさと」
という藤村の名言に出会いました。
中国に帰って大学の教授になるしかないという一念で、大学時代本で読んだ知識を活きた
知識に変えようと名作の舞台やロケを北海道から沖縄までほとんど回りました。
今はこれらの文学作品からは畑違いの仕事をしていますが、それでもそういう過程での
新しい出会いや新しい感性はきっとどこかで活きていると信じています。
「山の湖」の舞台の北海道然別湖を訪ねなかったら暁烏敏の「十億の人に十億の母あれど
わが母にまさる母ありなむや」の名言に出会えなかったことでしょう。
古稀に向かう老い身ですが、「聞いて楽しむ日本の名作」が今から楽しみです。