第1章 苦難の幼少時代
1.生まれの秘密
今から60年前の1954年、中国は天災と人災のため、
前代未聞の食糧難に苦しめられていました。
数多くの人々が餓死でなくなりました。
この大変な時期に母は私を妊娠してしまいました。
村の女性たちは風邪薬のアスピリンを10粒飲んで子供を下ろしていました。
私の前に男の子が二人死にましたので親は私を下ろすことにしました。
母はありったけのお金を持っていきましたが、アスピリンを9粒しか買えませんでした。
村では8粒を飲んで子供を下ろした人もいたので、
9粒なら大丈夫だろうと母も心を鬼にして飲みましたが、
わたしがしつこかったか胎内に残りました。
もう1粒買えたら間違いなく私はこの世に存在していないはずです。
家が徹底的に貧乏だったことに百万遍感謝しても感謝しきれません。
この一粒のアスピリンが私の生死の分かれ目でした。
誰かが言いました。「命の誕生に勝る喜びはない」。
また誰かが言いました。「命の誕生に勝る神聖なことはない」。
しかし、私の誕生を喜んでくれる人はいませんでした。
私の誕生を笑って迎える人はいませんでした。
栄養不良で、衰弱のあまり産声もあげられませんでした。
おまけにあのアスピリンのおかげで三つ口に生まれました。
健全な子でさえ育てにくいこの時期に、こんなに衰弱では、
こんな三つ口では到底見込みがありません。
私は古い毛布にくるめられ、部屋の隅に置かれました。
完全に冷たくなったら山の墓場へ持って行かれます。・・・ ・・・