去る11月12日姫路文化会館で姫路市社会福祉協会主催の池上彰さんの講演会が
ありました。
演題は「日本の今と未来」、サブタイトルで「~人と人のつながり・支えあいの
大切さ~」でしたが、講演のほとんどは歴史における疫病とその後の文明開化でした。
今のコロナ禍に鑑み、これからどんな時代が訪れるかのヒントを考えようと問題提起を
したのでしょうか。
奈良時代に天然痘がはやり、それを鎮めるために仏教が広がった。
その天然痘は、遣唐使が中国から持ち込んだもので、グローバル交流の負の一面。
でも、国分寺を建てたり、大仏を作ったりすることで新しい仕事が生まれ、社会が大きく
前進した。
江戸時代から明治にかけて江戸にコレラが大流行し、100万近い江戸人口が70万くらいまで
減った。
このコレラもアメリカの黒船が持ち込んだもので、元を辿ればコレラはインドの土病で、
インドを植民地化したイギリス人が英国に持ち込み、それをアメリカに持ち込んだのが
日本までに。
しかし、この黒船のお陰で日本は鎖国政策から開国政策に転じ、明治維新が起こり、
近代日本が誕生した。
14世紀ヨーロッパではペストが大流行し、三分の一人が命を奪われた。
このペスト菌は中国雲南省から発生したものだが、シルクロードを経由してヨーロッパに
根付いた。言ってみればグローバル経済の負の一面だ。
その後スペイン軍200人が8万人のネイティブインカ帝国軍を打ち破ったのは鉄砲といった
新しい武器に加え、ペスト菌を持ち込んだのが一役買ったそうだ。
スペイン軍は免疫力ができていてペストに強いが、ペスト免疫力ゼロのインカ軍は自滅。
しかし、ヨーロッパでペストが流行り、いくら神様に頼んでも人は死んでいくばかりなので、
カトリックの権威が失墜した。
そこからルネッサンス文化が生まれ、ヨーロッパは大飛躍の新時代を迎えた。
100年ほど前の第一次世界大戦中にスペイン風邪が大流行し、4000万人ほどが死亡したが、
悪者にされたスペインは冤罪で、このインフルエンザのウィルスをヨーロッパに持ち込んだのは
参戦したアメリカ軍だそうだ。
人類の発展とともに、疫病の菌やウィルスも進化し、今日の変異したコロナになって人類を
脅かしている。
大疫病の後は新しい時代が開けてきましたので、今回のポストコロナはどうでしょうか。
その答えはだれも一言では無理でしょうが、一国民として時代に取り残されないように
心身ともに鍛えておく必要性を倍強く感じさせられた講演会でした。