詩吟の秋季考査大会吟題は西郷隆盛の「獄中感あり」です。
「朝に恩遇を蒙り夕べに焚坑せらる、人生の浮沈晦明に似たり。」
でじ始まり、
「生死何ぞ疑わん天の付与なるを、願わくば魂魄を留めて皇城を護らん」
で終わる七言律詩です。
一つ一つの言葉の重みをかみしめながら、なんとか西郷南洲の心を表現してみようと
頑張っています。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。西郷隆盛の一番の名言は何といっても
「敬天愛人」です。西郷は「敬天愛人」を座右の銘としました。
昔、陸軍大将であった西郷が、坂道で苦しむ車夫の荷車の後ろから押してやった
ところ、これを見た若い士官が西郷に「陸軍大将ともあろう方が車の後押しなど
なさるものではありません。人に見られたらどうされます」と言いました。
すると、西郷は憤然として次のように言い放ったといいます。
「馬鹿者、何を言うか。俺はいつも人を相手にして仕事をしているのではない。
天を相手に仕事をしているのだ。人が見ていようが、笑おうが、俺の知ったことでは
ない。天に対して恥じるところがなければ、それでよい。」
他人の目を気にして生きる人生とは、相手が主役で自分は脇役です。
正々堂々の人生とは、真理と一体になって生きる作為のない生き方です。
天とともに歩む人生であれば、誰に見られようとも、恥をかくことはありません。
有言実行、表裏一体の西郷翁の生き方は、140年余り経っても私たちを
照らし続けています。