今年も残すところ二週間余りとなりました。
今年の世相を表す漢字一文字は「災/ざわい」が選ばれました。
たしか日本は震災、大雨洪水、台風など災害の多い一年でした。
日本の風刺画で、メルケルドイツ首相、フランスのマクロン大統領、
イギリスのメイ首相が「私のことを言っている?」が象徴するように
世界的にも米中貿易戦争をはじめ波乱万丈の一年でした。
そんな中、我が家、我が会社において私が選んだ漢字一文字は
「囍/二つの喜び」です。
辞書にも載っていない漢字ですが、二つの喜ばしい出来事という意味で
中国ではお祝いの時によく使われます。
語源の由来は後に書きますが、私にとって公私共の喜びというのは
まず我が家に待望の初孫が誕生したことです。
前にも触れましたが、時代の翻弄で私も娘も父方祖父、母方祖父に
会うことなく亡くなられました。
孫だけにはそんなさびしい思いをさせまいと今年か今年かと孫の誕生を
待っていましたが、娘婿の海外勤務でなかなか生んでくれません。
今年の9月やっと娘婿の海外勤務が終わって日本に戻り、それに合わせて
10月孫娘が生まれました。その喜びは感極まるところがありました。
次に、娘と娘婿がマルセイを継いでくれると決めました。
娘婿が七年間務めた国家公務員を辞めるまでしてマルセイを継ぐというから
最初はあっけにとられましたが、だんだん喜びが湧いてきました。
娘婿は今から受験勉強をして薬科大学に入って6年間勉強して薬剤師の
資格を取って、家内がやっている発酵や化粧品製造を継続すると言います。
娘が東京で会社をやっていて、旦那も東京で国家公務員をしていたので、
娘たちの未来は東京にありと思い、一人っ子娘しかいない私と家内は
30年企業をめざし、生涯現役を目指しながら、少しずつマルセイを
整理していく方針でした。
これにあわせて、個人的には趣味とボランティアを増やしていきながら、
講演活動にも力を入れ、家内との登山旅行を楽しむ人生設計でした。
それが、娘たちがお母さんの発酵技術をこのまま閉ざすのはもったいないと
自分たちが絶やさないように受け継いでいくというからには、マルセイは
少なくとも100年企業を目指さなければなりません。
娘たちのこの決断に私達だけなく、多くの知人友人が目が点になりました。
でも、正直言ってうれしい一言に尽きます。
これが私たちの公私共の二つの喜びです。
ところで「囍」の由来についてですが、二度宋王朝の宰相になった王安石
(1021~1086)が二十歳の時、科挙(官吏等を選ぶ試験)に応じて
上京する途中、ある村の大富豪が「走马灯,灯走马,灯熄马停步」の
対聯の一句を出し、これに合った次の一句を募集していました。
うまいことを書いた者にはなんと才色兼備の娘をやるというから、
若い王安石も立ち止まり暫し考えましたがうまい句が浮かびません。
それが上京して試験問題を見ると、「飞虎旗,旗飞虎,旗卷虎藏身」の
対聯の一句が出て、これに似合う一句を書きなさいとありました。
王安石はやれやれと上京途中の一句「走马灯,灯走马,灯熄马停步」を
書き、見事に合格しました。
また、王安石は急いでその村に戻り「飞虎旗,旗飞虎,旗卷虎藏身」の
一句で応募したところ、これまた見事にその才色兼備の娘と結婚することができました。
これが「囍/二つの喜び」の由来です。
王安石の公私共の「囍/二つの喜び」とは少し違いますが、
マルセイの存続と初孫の誕生による「囍/二つの喜び」は、今年の
私たちにぴったりの漢字一文字だと思います。