光陰矢のごとしと言われますが、まさにその通りです。
1,2,3月が早いと思ったら、4月も過ぎてすでに5月です。
今年だけが早いものではありません。
昨日のようなことが何十年前のことだったりすることも
よくありますね。
「浅緑 染め掛けたりと 見るまでに 春の柳は 萌えにけるかも」
誰染浅緑糸,漫掛樹高枝?元是春風起,楊柳又発時。
万葉1847番の歌と中国語訳です。
「人民中国」という中国権威の日本語版画報ですが、長期連載で
毎回5首ずつ万葉歌を紹介しています。
その作者がTさんという大学時代のクラスメートです。
中国の大学で日本語学科の学科長をしていましたが、孫を見に
日本に来ています。
35年ぶりの再会ですので、姫路でTさん一家族を盛大におもてなしする
予定でしたが、スケジュールがうまくいかずまずは二人だけで先に会う
ことにしました。
Tさんは中国文学に造詣が深く、特に漢詩が
得意でした。
李白の詩に「酒逢知己千杯少/知己に会えば
千杯の酒も足りないよ」の名句がありますが、まさにいくら飲んでも、いくら
しゃべっても飽きませんでした。
35年前は「風華正茂/風華正に輝く」時代でしたが、今は
「少小離家老大還,郷音未改双鬢催/小さくして家を離れ年老いて帰郷する
郷の訛りは変わっていないのに髪の毛はすでに白くなっている」です。
お互いに35年の歳月の潜り抜けてきましたが、昔の学生時代の純粋な
同学の情に何も変わりはありませんでした。
かえってもっと濃くなったような気がしました。
Tさんの人格と学風と文学造詣には昔も今も尊敬しています。
また誇りに思っています。
次は他のクラスメートも交えて一献傾けることを約束して
名残惜しい別れを告げ家路に就きました。