私は2年半で日本の百名山を完登しましたが、
ほとんどが単独登山でした。
単独登山は、自分の体力と時間に応じて行動できますが、
万が一何かあった時には大変なことになります。
単独登山の醍醐味は何と言っても自分との対話ができることだと思います。
夜間登山とか、危険場所を通過するときは集中しなければなりませんので
自分との対話所ではありませんが、いくら高い山でも危険場所さえなければ
歩きながら自分と対話することができます。
北アルプスの笠ケ岳は2897mで、日本三急登の笠新道を登りましたが、
自分と会話しながら登る方が却って疲れを紛らすことができます。
普段家庭と仕事場に閉じ込められてしまうと、本当の自分を見失う時が
多々あると思います。決められたスケジュールに縛られて、機械的な
人間になりがちです。家族のありがたさ、仕事のありがたさを忘れがちです。
私は山からたくさんの気づきをいただきました。
初心を忘れないこと、目標を見失わないこと、辛さに耐え抜くこと、
縁を大事にすること、感謝を忘れないことなど枚挙に暇がありません。
杜甫が泰山を詠んだ「望嶽」に
「会当凌絶頂 一覧衆山小」
(会ず当に絶頂を凌いで 一たび衆 山の小なるを覧るべし」
とありますが、登頂の達成感には格別のものがあると思います。
(写真真ん中の雲の下に遠く見えるが槍ヶ岳です)