去る3月21日家内と日本100名山伊吹山を登りました。
伊吹山は過去12m近くの積雪量で世界記録を出していますがいまだに
この記録は破られていません。
標高1377mの決して高い山ではありませんが、登山標高差が1200m近くあり、
その上積雪期には、籔林が雪に覆われその上を直登するため、6合目から山頂近く
まではかなり急登になります。
夏山の倍以上の体力とリスクを負うため、私は花のきれいな夏に登ろうとしましたが、
家内がどうしても行きたいというからには負けるしかありません。
3合目あたりからアイゼンをつけましたが、予想通り
6合目からは段々傾斜が急になってきました。
8合目あたりでしょうか、急にアットという声が聞こえ、
頭をあげたら、男女二人が滑落して落ちてきました。
どっさに私の前の二人に「右に避けて!」と叫び、アイゼンを
ぐっと雪に踏み込んだら、迷いなくスキ―のように滑って落ちる
二人を左手と右手で一人ずつ捕まえました。
一瞬の出来事でした。なんとか二人の滑り落ちる勢いは止めたものの
二人はまだ動き出そうとしました。その時家内が足を前に入れて二人を完全に止めました。
二人は完全にパニック状態になって「ありがとう!」をいうのもやっとのことでした。
私の前を登っていた二人も「ありがとう!」を連発しました。
本当に背筋がぞっとする一瞬でした。
もし私が10mくらい前を登っていたら、もし私が10mほど下を登っていたら、間違いなく私と家内の
力では二人を止めることができなかったでしょう。
二人が転びながら滑落していったら、その結果は想像に難くないし、また下を登る多くの登山者を
巻き込んだに違いありません。
私たちを伊吹山に呼んだのも、私たちをその時その場所に居合わせたのも、エベレスト登山で使った
アイゼンをつけていたのも、天の声、先祖の導き、伊吹山の呼ぶ声にほかないとつくづく思います。
エベレストから生かされて帰ってきた喜びが一身に湧いてくる山行でした。
人命救助は人に言わないのが陰徳になりますが、家内があまりにの驚きと感動に自分のFBにこの
ことを書いたところすごい反響があり、それを友人がシェアしたりして多くの方々に知れ渡って
いるので、それを補う意味でブログに書くことにしました。