今日は2月2日「夫婦」の日です。
11月22日「いい夫婦」だけの夫婦の日に対してすべての夫婦の日という
ことでしょうか。
昔は家内と共にいろんなイベントに参加したり、吉中さんからお花をいただいたり
しましたが、ここ2年間はコロナのお陰ですべてのイベントが中止となり、吉中さんから
お花をいただくことももうできません。
さて、掲題の
万家酒楼有却無/万家酒楼はあるのにまた無く
十里桃花全不見/十里桃花は全く見えず
この名句は李白の詩ですが、この詩の面白いエピソートをご存じでしょうか。
李白の詩「贈汪倫/汪倫に贈る」は皆さんご存じかと思いますが、掲題の名句もこの
汪倫にかかわる逸話です。
昔李白は中国各地を豪遊し、天下の文人墨客と交流を深めました。
李白はすでに当時の唐王朝随一の大詩人として多くのファンが慕っていました。
紀元755年李白が安徽省の黄山にたどり着いた時、同じ安徽省泾県の知事汪倫が李白に
招待の手紙を出しました。当時の県知事は王朝の許可なしに知事室を空けることが
できなかったので、李白に会いに行くことができませんでした。
手紙には、
「先生好遊呼,此地有十里桃花/先生は旅が好きですが、ここには十里の桃花があり;
先生好酒呼,此地有万家酒楼/先生はお酒が好きですが、ここには万家の酒楼が
あるのでぜひご足労賜りたく存じます」と書いてありました。
李白が泾県に着いてみたら、万軒の酒楼はなく、ただ万という苗字の酒楼が一軒、
桃の花はどこにも見えず、十里離れたところに「桃花渡」という村があるだけでした。
そこで李白が即吟したのが掲題の名句です。
安徽省内には名人、豪商が多く、李白が田舎の泾県に来てくれないのではと
案じた妙策が汪倫のこの手紙でした。
李白は汪倫の熱意と真心に感動し、何日も泾県に滞在しながら汪倫と酒を交わしたそうです。
李白は名残を惜しみながら汪倫と別れを告げますが、多くの人を連れて歌を歌いながら李白を
見送ります。汪倫の深い情に感動して書いたのが万古の名作「贈汪倫/汪倫に贈る」です。
贈汪倫/汪倫に贈る 李白
李 白 乗 舟 将 欲 行/ 李白舟に乗って将に行かんと欲す
忽 聞 岸 上 踏 歌 声/ 忽ち聞く岸上踏歌の声
桃 花 潭 水 深 千 尺/ 桃花潭水深さ千尺
不 及 汪 倫 送 我 情/ 及ばす汪倫の我を送るの情に
来月の3月末兵庫詩吟県連詩吟大会がありますが、家内の吟題が
「贈汪倫/汪倫に贈る」です。ぜひこのストーリの詩情を吟じてほしいものです。