道程
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄(きはく)を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため
大学2年生の時にこの高村光太郎の「道程」に出逢って以来、
どれだけこの詩に励まされ、勇気づけられたかわかりません。
その時は「道程」の全文は知らず、ただ上記の9行だけしか
覚えることができませんでした。
「道の最端にいつでも僕は立っている
何という曲がりくねり
迷いまよった道だろう
自堕落に消え滅びかけたあの道
絶望に閉じ込められかけたあの道
幼い苦悩にもみつぶれたあの道……」
「自堕落に消え滅びいかけたあの道」を除けば、私の幼少年、
青春時代のそのままの写生なのです。
涙しながら何度もなんども繰り返して読ませていただきました。
「歩け、歩け
どんなものが出てきても乗り越して歩け
この光り輝く風景の中に踏み込んでゆけ」
このあと冒頭の9行の詩が続きますが、その気魄には
圧倒せられざるを得ません。
中国の古い言葉に、
「山再高,高不過人;路再長,長不過脚/
山がいくら高くても人はその上にあり;
道がいくら遠くて足はその前にある」とありますが、
明日という未知の道をしっかり、確実に歩んでいきたいものです。
普段の毎日の積み重ねが
マイエベレストへつながる
唯一の道なのです。