生きることとは生かされることです。
私は生まれる前から何回も生死(しょうじ)の山を乗り越えてきましたが、
それは自分の意志と力ではどうしようもないものでした。
しかし、登山は自分の意志で危険な場所にいく行為ですから、
万が一のことが起きてもそれは自己責任です。
山において遭難というのは、天候、雪崩など天災によるものもありますが、
判断ミス、焦り、不注意などによる人為的ものも少なくありません。
写真の車の事故は平成19年7月16日起きました。
前日の7月15日北海道の羅臼岳と斜里岳を登りました。
16日朝2時から雌阿寒岳を登りはじめ、6時に下山しました。
そこから130キロ先のトムラウシ山へ向かいましたが、なかなか登山口に
たどり着きません。焦っているうちにカーブの山道で砂利にハンドルを取られ、
しまったと思った時にはすでに写真をざまでした。
一瞬意識を失いましたが、生きていることに気が付くとすぐ脱出に取り掛かりました。
ハンドル側のドアは開けることができず、反対側のドアから何とか外に出ました。
幸いに車は炎上しませんでしたが、その後レッカーに引き上げられ、そのまま廃車されました。
今振り返ってみてもぞっとします。よく助かったと手を合わせます。
まず、大きな車でしたらこんな事故にはならなかったと思いますが、
軽四の方が後ろが広く、寝袋さえあればどこでも寝られるので山ではセルシオより便利です。
次に、この日はトムラウシ山の後に、110キロ離れた幌尻岳を夜間登山で登り、そのまま
170キロ離れた羊蹄山に登る計画でしたが、これがちょっと無謀すぎてトムラウシで止めてくれたと
感謝するようになったのはずっと後のことでした。
ちなみに、次の日私は満身創痍の体で、トムラウシに登って姫路に帰りました。