誰かが言いました。
「命の誕生に勝る喜びはないよ」
また誰かが言いました。
「命の誕生に勝る神聖なことはないよ」
しかし、私の誕生を喜んでくれる人はいませんでした。
私の誕生を笑って迎える人はいませんでした。
栄養不良で衰弱のあまり産声もあげられませんでした。
おまけにあのアスピリンのおかげで三つ口に生まれました。
健全な子でも育てにくいこの時期に、こんなに衰弱では、
こんな三つ口では到底見込みがありません。
古い毛布にくるまれ、部屋の隅に置かれました。
完全に冷たくなったら山へ持って行かれます。(つづく)