昨日はよく眠れませんでした。
ヒューヒューと風が吹きすさぶ音で、寝るところか
テントが飛ばされるのではと気が気でなりませんでした。
ちょうど私たちのテントの場所で、去年韓国の登山者がテントごと
飛ばされガイドさんと二人とも遭難したそうです。
だから私たちは風に飛ばされないように一つのテントに4人が入ります。
狭くて大変ですが、風に飛ばされ死ぬことを思うとこれもエベレスト
登山のうちと我慢するよりしかたがありません。二人のガイドさんが
一晩中寝ずにテントを抑えてくれたおかげでなんとか無事に夜が明けました。
昨夜の風は何だったかのように朝は風がやんでいました。
ちょっと恥ずかしい話ですが、アタック出発で三日目となると必ず大を出さ
なければなりません。それが大変です。腰にロープをくぐって5mほどの後ろで
ガイドさんが引っ張ってくれます。あの不自由な登山服では動きがぎごちなく
そのまま滑落して死んだ人もいるからです。
8300mのキャンプ3に向かうのはなかなか大変です。
写真のようにそれほど急登でなくても、デスゾーンというこの命の進入を
許さない世界では一歩を上げるのに前のめりになって必死です。
三浦雄一郎さんは8300mからは一歩を上げるのに8回深呼吸をしなければ
成らなかったと言いました。耐えるしかありません。時間との勝負です。
あと3時間耐えれば目的地に着くこの一念だけです。・・・ ・・・(つづく)