エベレスト山頂まであと垂直差100メートル。
ここはエベレスト山頂の岩場と雪田が接続しているところで
海抜8750mだ。多くの勇者たちがあるいは登頂中、あるいは
登頂に成功して下山中、ここで力尽き永遠の眠りについている。
野口健さんの友人は登頂には成功したものの、「もうちょっと頑張ろう!
一緒に日本へ帰ろう!」と泣き叫ぶ野口健さんのふところで息を引き取ったという。
中国の若き登山家Wさんも2年前に登頂後ここまで下りて遭難した。
膝を超える雪の中を、ロープにすがりつかないと滑落してしまうほどの急斜面を
ひたすら上へ上へと登り続ける。心臓の鼓動が耳が痛くなるくらい激しく聞こえる。
この500mあるかないかの雪田でほとんどの体力を消耗したような気がした。
後から知ったが、日本からの3人組もここまで頑張って、山頂を100mにして
引き返したという。練習中何回も顔を合わせているが、みんな立派な山男である。
2か月も苦労して何百万のお金も使って山頂を目前にして登頂を断念するその無念さはわかるが、
それは勇気ある撤退で命との引き換えである。・・・ ・・・(つづく)